入学、入社……4月を迎え、新しい環境に向けて「独学」が必要になる人も多いだろう。そこで、『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』著者の読書猿さんに、おすすめの本を挙げてもらった。第1回は知的生産の基本「よむ、かく、しらべる」編。『独学大全』とあわせて読むと効果抜群のラインナップだ。(イラスト:塩川いづみ)
【「よむ」ための3冊】
『つながる読書 ――10代に推したいこの一冊』 小池陽慈 編(筑摩書房)
SNSでつながった読み書きのプロたちが、10代に読んでほしい一冊を紹介し合う。人それぞれの思いが言葉に乗り、織りなされていく一冊。
『本を読む本』 J・モーティマー・アドラー, V・チャールズ・ドーレン 著, 外山滋比古, 槇未知子 訳(講談社学術文庫)
読むに値する良書とは何か、読書の本来の意味とは何かを考え、知的かつ実際的な読書の技術をわかりやすく解説。初級読書から点検読書、分析読書を経て、最終レベルまでの具体的な方法を示し、読者を積極的な読書へと導く一冊。
『着眼と考え方 現代文解釈の基礎〔新訂版〕』 遠藤嘉基, 渡辺実 著(ちくま学芸文庫)
現代文を読み解くための至高の教本。文章の何に注目し、どう考えていけばよいのかを、59の文章例を通して丁寧に解説。文学的文章と論理的文章の両面から、書き手の感性や想像力までつかめるよう導く。
【「かく」ための3冊】
『ライティングの哲学 書けない悩みのための執筆論』 千葉雅也, 山内朋樹, 読書猿, 瀬下翔太 著(星海社新書)
「書く」ことを仕事としながらも「書けない」悩みを抱える4人が、新たな執筆術を模索する軌跡を記録。具体的な方法から書くことの本質まで探求し、「書けない病」を克服する手がかりを見出していく。読者も共に書けない苦しみを哲学し、新たなライティングの地平を目指す一冊。
『ゆるレポ: 卒論・レポートに役立つ「現代社会」と「メディア・コンテンツ」に関する40の研究』 岡本健, 松井広志, 松本健太郎 編(人文書院)
大学生のレポート・卒論作成を支援するユニークな一冊。現代社会とメディア・コンテンツに関する40のテーマを取り上げ、各テーマについて先行研究のレビューと研究の手引きを提供。学生の関心に寄り添いつつ、学術的な探求へと導く。
『論文の書きかた』 佐藤健二 著(ちくま学芸文庫)
「論」とは何か、「文」とは何か? 社会学の知は、いかにして生み出されていくのか。書くことをめぐる知と技のメディア論。
【「しらべる」ための3冊】
『図書館に訊け!』 井上真琴(筑摩書房)
大学図書館員の著者が、図書館で何をどこまで調べられるのか、調べ方の基本から「奥の手」まで伝授する実用書。
初めてレポートを書く学生から日常的に調べものをする人まで、図書館の活用法を学べる一冊
『調べる技術: 国会図書館秘伝のレファレンス・チップス』 小林昌樹(皓星社)
国立国会図書館でレファレンス業務に長年従事した著者が、調べものに役立つ実践的なノウハウを一般向けに解説した本。
『ネット情報におぼれない学び方』 梅澤貴典(岩波ジュニア新書)
ネット時代に必要な情報リテラシーと学習スキルを、中高生向けにわかりやすく解説したガイドブック。情報があふれる現代社会を生き抜くための「知的探検の方法」を伝授する。