教習所が「ブレーキはカカトを浮かせて踏め」と教える理由、乗り心地が悪いのになぜ?【識者が考察】Photo:wachira aekwiraphong/gettyimages

クルマのブレーキの踏み方について、多くの教習所では「カカトをフロアから離しましょう」と教わります。一方で「カカトを付けるべきだ」という意見もあり、見解が分かれています。なぜ教習所は「カカトを浮かせなさい」と伝えているのでしょうか。また、ベストなブレーキングの方法はどちらなのでしょうか。自動車ジャーナリストが徹底考察します。(自動車ジャーナリスト 吉川賢一)

実は奥深い!
「ブレーキの踏み方」の世界

 あなたはクルマのブレーキペダルを踏むとき、右足をどのように動かしていますか?

 アクセルペダルから踏みかえる際、カカトを浮かせて足全体をフロアから離し、上から押さえるようにブレーキを踏む人もいるでしょう。一方で、カカトをフロアに付けて「支点」とし、「てこの原理」を使って足を扇形に動かすことで、アクセルとブレーキを踏みかえている人もいるはずです。

 多くの教習所は、前者の「カカトをフロアから離す」方法を教えていると思われます。しかし、一般ドライバーの間では「より上手な運転を目指すならば、カカトを付けるべきだ」という意見もあり、見解が分かれています。

教習所が「ブレーキはカカトを浮かせて踏め」と教える理由、乗り心地が悪いのになぜ?【識者が考察】こちらの方が運転しやすい!? カカトを付けたブレーキング Photo:PIXTA

 ブレーキの踏み方は、果たしてどのような方法がベストなのでしょうか――。自動車メーカーで開発エンジニアを務めた経験を持つ筆者が、自身の経験を交えながら考察していきます。

 なお、「左足でブレーキ、右足でアクセルを踏むと安全だ」という説の真偽については本連載の別記事で解説していますので、そちらをご参照ください(著者はモータージャーナリストの諸星陽一氏)。

>>『「左足ブレーキの方が安全」は本当?安全運転のプロが検証!論争にトドメを刺す結論は…』を読む

 本稿では「右足一本でのブレーキング」に特化した解説をお届けしていきます。