セタキラの湯滝へ出発!
さっそく、湯滝へと向かいます。レセプション脇の坂を下ると、分岐があり、左手は宿の温泉プールに、右手はムエチェ川に通じているようでした。竹垣に囲まれた道を下って川岸に出ると、200~300mくらい先に噴煙が見えます。川原か川中を歩いていくものと考えていましたが、まもなく山側に古タイヤを埋め込んだ道が現れるので、そこを進んでいきます。
100mほどでひとつ目の滝に着きます。ここは「三温の滝」と呼ばれていて、3つの温度の湯や水が混ざって流れ落ちているとのこと。温泉が流れている場所は岩肌が茶色に染まっています。これはこれで見事なのですが、この先にメインディッシュが待っているので、先を急ぎます。
岩場伝いに滝を越えて、山道を歩きます。道に沿うように黒い塩ビパイプが通っていて、目指す湯滝からホテルまで湯を運んでいるようです。まもなく、小規模な温泉の湧出地帯が何カ所も見えてきました。
事前に読んだ文献には「32カ所の源泉がある」と記されているので、おそらくこれらの小源泉も含んでいるのでしょう。一般の人から見ればただの茶色い水でしかないかもしれませんが、筆者にとってはクライマックスが近づいているのを知らせる兆候で、気持ちが高揚します。
川原で石組みの即席露天風呂を楽しんでいる人たちが見えてくると、高さ16mのカラフルな湯滝に到着です。写真で見た以上に壮観で、しかも湯量が膨大なので迫力に圧倒されます。源泉は約90度と高温なため、川歩き用の靴底から熱が伝わり、熱くて滝の直下に近づけません。正面に立つとむせるような蒸気と熱気が全身に伝わります。
滝の流れる岩壁は鮮やかな赤・黄・緑の縞模様。アフリカ諸国の国旗やレゲエファッションで有名なラスタカラーを思わせる色合いに興奮が高まります。味やニオイはほとんどありませんが、炭酸カルシウムを豊富に含むため、分厚い石灰華ドームを形成しています。世界各地で湯滝を訪ねてきましたが、湯温と鮮やかな色合いでは屈指のものです。湯滝の頂上には2本のパイプが突き刺さっており、エリコニアス温泉と対岸のもうひとつの宿に温泉を運んでいます。