地元の人たちと「チチャ」で一服

知られざる山奥の秘湯に一緒に入ろう!コロンビアで超豪快な「最も高熱な滝湯」につかるこのくらい離れた場所がちょうど適温。地元の家族の皆さんはここでのんびりと過ごすという

 地元の人たちは少し下流の、温泉が川の水と混ざって適温になる場所に石組みの露天風呂を作って、入浴を楽しんでいるようです。聞いてみると、近隣からお弁当持参で来たとのこと。

知られざる山奥の秘湯に一緒に入ろう!コロンビアで超豪快な「最も高熱な滝湯」につかる確認する間もなく、紙コップに注いでしまい、チチャを断るすべはない

 「日本から来た」と伝えるととても喜んでくれ、「一緒に入ろう」と誘ってくれました。砂地で深い浴槽は作れないので、半身浴が精一杯。ですが皆さん満足そうで、私もはるばるやってきた達成感に包まれました。

 歓迎の印に自家製の発酵酒もすすめてくれます。とうもろこしを発酵させた「チチャ」というドブロクのような酒で、南米ではインカ帝国の時代から広く飲まれているとのこと。

 一瞬ひるみましたが、同行したガイドさんも「断れる状況ではない」というので、ありがたく頂戴しました。顔がこわばらないように注意しながら作り笑顔でひと口飲んでみると、ドロッとした白い液体は、酸味の強い甘酒のような感じ。アルコール感はほとんどなく、頑張れば飲み干せそうな味でしたが、旅は始まったばかりなのに、お腹を壊さないかが心配です。

 見かねた歴戦のガイドさんが残りを一気に飲み、「おいしい」とカップを返してくれました。後で聞くと、「昔は唾液で発酵させていたが、今はさすがにやってない」とのこと。飲む前に聞かなくてよかったと心底思いました。

知られざる山奥の秘湯に一緒に入ろう!コロンビアで超豪快な「最も高熱な滝湯」につかる下流側へ行くほどぬるくなり、35~38度くらいの即席露天風呂が並ぶ

 下流側には、先客が作成したと思われる石組みの露天風呂がいくつも残っていて、好みの場所で浸かることができます。地元の夫婦がひと組、ぬるめの場所で浸かっていました。

残念過ぎる湯滝の正式名称

 「コロンビアで最も高熱の滝」。これが湯滝の正式な名称で、インターネットでもこの名前で検索できます。ただ、琵琶湖を「日本で一番面積の大きな湖」、りんごを「赤くて丸く少し酸味のある果物」と呼ぶようなもので、ちょっと残念です。「クラスで一番背の高い男の子」と呼ばれるより、名前で呼んであげたほうが嬉しいと思います。

 日本でも、川原毛の大湯滝(秋田県)やカムイワッカの湯滝(北海道)など、湯滝は地名やその地の言い伝えから名づけられていますので、ここは「セタキラの湯滝」と呼びたいと思います。