中国在住のある米国人企業幹部は6年前、米サンフランシスコに出張するため、いつも通り上海浦東空港を訪れた。出国手続きを始めた途端、中国を離れてはいけないと告げられた。「何をしたかわかっているだろう」。国境管理を担当する職員はこの幹部に告げた。別の空港でも出国を試みたが、同様の反応だった。この幹部は以後ずっと中国に足止めされている。彼は出国禁止の対象者になっていた。中国の裁判所が用いるこの法的手段によって、多くの外国人企業幹部が中国国内に閉じ込められ、大抵はいつ出国を許されるのか分からない状況だ。出国禁止の大多数は、刑事告訴ではなく民事訴訟(通常はビジネス上のトラブル)に巻き込まれた人に適用されている。訴訟に対して個人的な責任がない外国人や係争が起きる何年も前にその会社を辞めた外国人でさえ出国禁止の対象となっている。