少年ジャンプをめくっていたベテランバイトが、ある日突然、参考書を読み始めた。佐々木良次弁護士はコンビニで働いていた24歳のころ、初めて勉強に目覚めたのだという。
地元・愛知県の工業高校を卒業して上京、フリーターとして昼間は派遣作業員、夜はコンビニでバイトする生活だった。
「根無し草でした。なんとなく食えてはいるし、こんなもんかと思っていた」。しかし派遣元が違法とされ業務停止になった。いつも一緒に働いていた同僚と、突如連絡がつかなくなった。
法律の知識があれば、消えてしまった彼らを助けることができたかもしれない。そろそろ不安定な生活に終止符を打とう。「法学部」に照準を定めた。慶應大に通う後輩バイトから受験勉強を教えてもらい、駒澤大学に合格。ロースクールを経て、2020年、35歳で弁護士になった。
退路を断ったところに来た合格通知
佐々木弁護士は、28歳で地元の愛知学院大ロースクール既修者コースに入学。修了後、最後のチャンスとなる5回目に合格した(新司法試験は受験制限回数が定められている。2015年までは「5年間で3回」で三振ともいわれた。2015年から5回に変更されている)。