仕事ができるかどうかは、会食・食事会の「仕切り力」でわかる――。
面倒な雑務の代名詞「幹事」「食事会設定」は、社会人として逃れられない悩みの一つだ。「たかが会食」と捉えて適当にこなすと、クライアント・上司からの評価が大きく下がりかねない。
しかしこの一見、何の役にも立たなさそうな“貧乏くじ”に、実は「千載一遇のチャンス」が隠されていることを、見逃してはいないだろうか?
新刊『ビジネス会食 完全攻略マニュアル』では、“広告代理店卒・アルコールに弱い(1,2杯が限界)・非体育会系の著者”が、最大28会食/月を乗り越えて身につけた「実務に即したメソッド」を紹介している。
会食・社内飲み会・送別会・歓迎会など、古今東西すべての食事会で今日から使える本書。
今回は、「会食における禁忌」を紹介しよう――。

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会食の場「だけ」で目的を達成してはならない

たとえば、ビジネス会食における目的を「3か月後に開催される競合コンペの有益な情報をクライアントから聞き出し、勝利に繋げる」と設定したとしよう。
この場合(特に会食初心者がやりがちなのであるが)、酒が進んだ後に、ここぞとばかりに情報を聞き出そうとするのは悪手である。

実際の会食・食事会の現場ではこういった無粋な振る舞いが散見される。かくいう私もかつて何度も会食中に仕事の話をしようとして上司から叱責されたものである。

今回は、なぜ「会食中に仕事の話をしてはいけないのか」を紹介しよう。

「貸しを作ろうとしているのではないか」と思われたら終わり

これは、自分が会食の誘いを受ける側に回るとわかりやすいかもしれない。

たとえば誘った側が費用を負担する会食で、相手が、「自分たちが奢るから」と、ここぞとばかりに会食中に情報を聞き出そうとしてきたら、自分はどう思うだろうか。「会食の人間関係でうまく丸め込もうとしているのか」「こいつらは飯を奢ったからといって貸しを作った気になっているのではないか」と不信感を持つのが自然だろう。

これと同じように自社がトラブルを起こした直後の会食も避けたほうがいいだろう。慌てて人間関係の再構築に乗り出したくなる気持ちはわかるが、「今から貸しを作って丸め込もうとしているな」と思わせてしまったら、かえって火に油を注ぐようなものだ、その後の結果には目も当てられない。

誤解のないようにお伝えしておくと、もちろん、相手が会食を楽しんでくれた結果として積極的に情報を開示してくれる分には全く問題はない。そのように、相手側のアプローチによってビジネス目的が達成されることは、むしろ望ましい。

トラブルとなるのは、あなたが意図していようがいまいが、「酒の場の勢いに乗じている」とゲストに思われた場合だ。

(本記事は、『ビジネス会食 完全攻略マニュアル』の一部を抜粋・編集・加筆したものです)