日本の受験戦争に、中国勢が続々と参戦している。日本の受験はヌルくておトク? 東大さえも「踏み台」に過ぎない? 衝撃の実態を、中学受験専門塾スタジオキャンパス代表の矢野耕平氏がリポートする。
〈前後編の後編です。前編は…「日本はヌルい」「課金は青天井」中国系家庭が中学受験に参戦!御三家を目指す理由とは?〉
「東大で学ぶこと」は目的じゃない?
日本のトップ大学といえば、言うまでもなく東京大学である。ところが、東大に通う中国系の学生のなかには、ろくに授業に出席しない者もいると聞く。それでいて、試験の成績は優秀。彼ら彼女たちの目的は「東大で学ぶこと」ではなく、「東大に在籍すること」だというから驚きだ。一体どういうことなのか?
千葉県習志野市で中国や東南アジアからの留学生を対象にした大学・大学院受験専門塾「INECO Seminar」(イネコセミナー)の経営者で、中国出身の高天舒氏とベトナム出身のカオ・ティ・テゥイ・ガ氏に取材したところ、理由の一端が見えてきた。
高氏が語る。
「中国人がまず気にするのはQS世界大学ランキング(※)なのですが、正直なところ日本の大学は全体的に順位が低いです。トップが東京大学の29位で、100位以内にランクインしたのは国立の4大学だけ。MARCH(明治大学・青山学院大学・立教大学・中央大学・法政大学)にいたってはトップ1000にも食い込めていません」
「このため、中国人は欧米の一流大学に目を向ける人が多いのです。日本の大学の教育環境は国公立私立問わず充実していると感じているので残念です」
(※英国の大学評価機関クアクアレリ・シモンズが毎年発表しているランキング)