「日本はヌルい」「課金は青天井」中国系家庭が中学受験に参戦!御三家を目指す理由とは?Photo:Diamond

近年、中国にルーツを持つ子どもたちが日本の中学受験に挑むケースが目立っている。教育熱心で知られる中国系の家庭が、日本の受験システムに続々と参戦する背景に何があるのか? 中学受験専門塾スタジオキャンパス代表の矢野耕平氏がリポートする。

〈前後編の前編です。後編は…東大さえも「踏み台」中国勢が日本の受験に参戦する“真の狙い”とは?

5人に1人が中国系のクラスも

 わたしは東京都世田谷区ならびに港区で中学受験塾を経営し、国私立の中高一貫校を志す子どもたちを日々指導するかたわら、社会人大学院生として博士後期課程に在籍し、言語学の研究に取り組んでいる。

 数年前、SNSに送られてきた大学院のゼミ名簿を一瞥(いちべつ)して驚いた。ゼミ生十数人のうち、日本人はわたし1人だけだったのだ。わたし以外は海外からの留学生であり、とりわけ中国系の名前がその多くを占めていた。

 そういえば……とここで立ち止まった。自身の生業にしている中学受験の世界でも中国系の子どもたちが増加の一途を辿っていることを改めて感じたからだ。

 学校関係者にヒアリングしたところ、東京都内の私立中高一貫校のあるクラスでは、およそ5人に1人が中国にルーツを持つ子どもたちで構成されているという。また、トップレベルの都立高校でも年々、中国勢の占める割合が高まっているそうだ。

 日本には82万人の中国籍の人々が暮らしている。日本に帰化した人や、父母のいずれかが中国出身という家庭も含めれば、その数はさらに膨らむ。彼ら彼女たちはなぜ、日本の受験システムに参入しようとするのだろうか。