想像を絶するスピードとスケールで10兆円企業をつくりあげた経営者から学ぶべきことは多い。孫正義ソフトバンクグループ代表の評伝『志高く 孫正義正伝 決定版』(実業之日本社文庫)の著者井上篤夫氏が孫氏を深く知る人物と対談し、ビジネスパーソンに学びをお届けする連載「ビジネス教養としての孫正義」の第3回。対談相手はNEXYZ.Group代表取締役社長の近藤太香巳氏。Yahoo! BBの販売代理店として、その並外れた営業力と企画力で契約件数を増やし、同事業を成功させた立役者の一人だ。本邦を代表する富豪の一人である孫正義氏は何のために仕事をしているのか。近藤氏の見解は、孫正義氏の過去の発言と重なると井上氏は指摘する。(構成/ライター 田之上 信)
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働くモチベーションも別次元
井上 直近で孫さんと会ったのはいつですか。
近藤 ずっと会ってないですね。ずいぶん前に、メールで「元気? また会いたいね」って感じでメッセージがきたんですよ。
僕も「元気です」と返事をしましたが、「ぜひぜひ!」みたいなことは言いませんでしたね。すごくうれしかったけど、前のめりにはならなかった。それには理由があるんですけど。
井上 何ですか、教えてください。
近藤 また孫さんのね、すごい夢を聞いて、そっちに行ってしまいそうな予感がしたから(笑)。
井上 ありそうですね (笑) 。
近藤 せっかく自社完結型モデルをつくったのに、またスケールのデカい話をされて、この人の魔法にかかったら大変だと思ったんです。
井上 いい関係ですね。孫さんも近藤さんを見て、俺の若いときに似てるなと思ったのではないかという気がします。
近藤 いやあ、似てないですよ。スケールが違いますから。あの人は100年に1度の天才だと思いますよね。
井上 僕もそう思います。
近藤 10年に1度の天才っていうのはいるんですよ。でも、100年に1度の天才、もしかしたら何百年に1人の天才です。ズバ抜けてる。
井上 いないです。
近藤 GMO(インターネットグループ代表)の熊谷(正寿)さんや楽天の三木谷(浩史)さんとか、僕からしたらすごい尊敬する先輩がいっぱいいますけど、孫さんは別物というか、別次元の人というか。
井上 それはすごくわかりますね。
近藤 あの人は歴史に名を残します。本人も歴史的な偉人になりたいと思っているはずです。歴史の中で語り継がれる天下人の1人として、坂本龍馬のようになりたいんですよ。