日本企業の新規事業は93%が失敗、「なぜうまく行かないのか?」に対する現状打破の第一歩とは新規事業ブームだが、実際に成功しているケースは驚くほど少ない(写真はイメージです) Photo:PIXTA

新規事業の成功確率
7%という厳しい現実

 近年、新規事業開発やイノベーションの推進がホットな話題だ。我が国においても、経済の超成熟化や人口減による既存事業の頭打ち・衰退を背景に、新規事業の創出が重要な経営課題に浮上している会社が企業規模を問わず増えている。

 文科省が毎年実施する「全国イノベーション調査」によれば、新規事業開発等のイノベーション活動に従事する会社は2015年の38%から2022年の51%まで増加している。

 しかし、一筋縄ではうまくいかないのが新規事業の難しいところだ。アビームコンサルティングが2018年に実施した調査(年商200億円以上の780社を対象)によれば、取り組んだ新規事業のうち累損解消に至った割合は7%である。裏を返せば93%の新規事業は失敗に終わっていることになる。

 成功確率7%では新規事業投資のROIはさすがに成立しない。新規事業を成功させるためには、ある程度は多産多死の前提で複数の新規事業テーマに取り組む(=打席に多く立つ)ことに加え、成功確率を上げるための取り組み(=打率を上げる)が不可欠と言える。