昨今のコンサルティング業界では、大手ファームにおける「サービスの質」に大きな差が生まれづらくなっている。「戦略系」「総合系」「IT系」など、各社の強みが分かれていたにもかかわらず、こうした状況に至ったのはなぜなのか。クライアント側は、どのようにして依頼先を決めればよいのか。独立系コンサルの現役経営者が解説する。(森経営コンサルティング代表取締役 森 泰一郎)
大手コンサルのサービスは
「どこも同じ」になりつつある!?
ビジネスの世界では、良くも悪くも「コンサル」が話題になりがちだ。
コンサルタントは「高給取りのエリート」というイメージが根強い。「優秀なコンサルの仕事術」といったテーマの書籍が出版されることもある。人気の転職先として、大手コンサルティングファームの名前が挙がることも多い。
その半面、「コンサル会社が多すぎてよく分からない」「社内で改革を進めるのと大差ない」などと、批判のやり玉に挙げられることもしばしばだ。だが、各社にはどんな強みがあり、どんなビジネスを展開しているのか――といった基礎知識を持った上で批判している人はどれだけいるのだろうか。
漠然とした理解のもとでコンサルが称賛・批判されるケースを減らすべく、本稿ではコンサルファームの事業内容と、大まかな勢力図を示しておきたい。
一方で、上記の批判の全てが「的外れ」とは限らないのは面白いポイントだ。確かにコンサル業界では、大手ファームにおける「サービスの質」に大きな差が生まれづらくなっている。
本当に付き合うべきコンサルファームを選ぶ上で、クライアント側には工夫が求められる時代になった。その具体的な手法についても、次ページ以降で解説する。