自治体危険度ランキング#5インフラ危険度

われわれの生活に不可欠な橋梁や道路。年々補修のための費用が増加している。一方で、多くの自治体の財政は窮乏していく。このままでは補修すら満足にできない日が遠からずやって来る。特集「自治体危険度ランキング」(全5回)の最終回では、三つの指標で自治体ごとにその危険度を判定し、財政から見た全国の自治体のインフラ修復余力がどれだけあるかに迫る。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

新設の費用をゼロにしても道路・橋などの維持補修費を賄えない

 高度成長期に造られたものの、その後更新されないまま年月が過ぎる道路や橋、トンネルなどの公共インフラ。これらの多くを修繕する主体は地方自治体だが、それを手当てする財政的な余力は果たしてあるのか。

 ダイヤモンド編集部では、2018年に続き「インフラ危険度」ランキングを作成した。

 15~17年度の全国の自治体の決算を基に(1)15~17年度の3年度分の普通建設事業費に占める更新整備費の比率である「平均更新費比率」、(2)使い道が特定されない財源のうち、人件費、扶助費、公債費など毎年経常的に支出される経費が占める割合である「経常収支比率」、(3)自前の財源の豊かさを表した「財政力指数」の三つの指標から、インフラ更新の余力の度合いを算出したものだ。

 平均更新費比率が高ければ、その自治体の現状の建設事業費の枠内では、今後のさらなる更新整備費の増加に対応する余力がないことになる。また、人件費や公債費などの負担が大きく経常収支比率が高い自治体には、建設以外の事業費を削減して更新整備費に回す余力がないと考えられる。さらに財政力指数が低い場合、そもそもその自治体は財源が乏しいことを表す。それ故、この三つの指標を組み合わせて、インフラ危険度を算出している。

「37年度には維持管理・更新費が投資総額を上回る。11年度から60年度までの50年間に必要な更新費約190兆円のうち、全体必要額の約16%に当たる約30兆円分の更新ができない」――かつて、12年度の「国土交通白書」で国土交通省はこのような試算結果を公表した。

 だが、こと地方に関してはこの7年前の試算が、37年度よりはるかに早く現実のものとなってしまいそうな自治体が少なからず存在することが、ランキングからは明らかになった。