このWHOの報告は2011年の東日本大震災の死者を含んでいる。

「日本は地震が多いから災害犠牲者が多いんだ」

 と思って、自分を納得させている読者も多いだろう。

 が、地震だけではない。

 たとえば2018年の日本の災害死者数は444人で、災害疫学研究所が発表したランキングでは、インドネシア、インド、グアテマラに次いで4位となっている。日本はこの20年ほどは東日本大震災の犠牲者を除いても年平均で150人以上の犠牲者を出している。

 人口比の犠牲者数は常に世界のワースト10の中に入っているのである。

 世界の中には、インフラが整っていなかったり、環境の悪いスラム街に人口が密集していたり、日本よりももっと自然が過酷だったりする国は多々あるのだ。

 いくら日本では災害が多いと言っても、そういう国々よりも犠牲者が多いというのは、やはり「おかしい」と思わざるをえない。

 地震の被害というのは、そう簡単に対処することはできない。日本の場合、どこで起きてもおかしくないし、いつ起きるかはいまの科学ではまだ予測ができないからだ。だから地震の被害が大きい部分については、ある程度仕方がない部分もある(ただし、インフラ整備によって救われる部分も多々あると考えられる)。

 しかし台風や大雨の被害は、努力によってかなりの部分が防げるはずだ。が、この台風や大雨の被害について、日本では適切な対処をしているとはとても言い難く、毎年のように大きな被害を出している。

 繰り返すが、日本は世界でもまれに見るほどの巨額の公共事業を行ってきた。それにもかかわらず、途上国並みのインフラなのである。というより、途上国以下の部分も多々あるのだ。