が、最近では、「公共事業が削減されたから、日本は不景気になった」と主張する経済学者なども出てきた。
いまでも公共事業に関しては「多すぎる」「少なすぎる」という議論がよくされる。
では実際、日本の公共事業は他国に比べて多いのか少ないのか? 調べてみると、断然多いのである。
表1のようにGDPにおける公共事業費の割合を先進諸国で比較してみると、フランス、イギリス、ドイツ、アメリカは2%台である。4カ国の中で最も多いフランスより、日本のほうがさらに大きい。しかも日本の場合、これでも大幅に削減しているのだ。
日本は90年代前半には、GDPの6%を超える年もあったのである。防衛費の5倍から6倍の税金が公共事業に投じられていたのだ。
しかし「公共事業の質」を見たとき、そのお粗末さは言語を絶するほどである。
詳細はこれから述べるが、国民が想像する以上に、日本の公共事業はずさんで無計画で無駄が多すぎるのである。そして日本は世界に類を見ないほどの巨額の公共事業を行っておきながら、先進国ではありえないほど社会インフラがボロボロなのだ。
公共事業の受注は、政治家にコネがあるものや地域の有力者を中心に行われる。そこには「公共事業の必然性」などはまったく配慮されていない。ただただ何か理由をつけて公共事業を引っ張ってくるのである。
特定の地域、特定の分野の公共事業だけが繰り返し行われることになる。
だから「巨額の公共事業費を使っていながら、日本のインフラは途上国並み」という事態に陥っているのである。
世界ワースト2位の
災害死亡率の理由
表2のデータはWHO(世界保健機関)が発表した人口10万人あたりの自然災害による平均死亡率ランキング(2011~15年)である。残念なことに日本は世界のワースト2位ということになっている。
ソロモン、ミクロネシアなどの小島国家やカンボジア、南スーダンなど、インフラ整備が明らかに遅れている国などよりも日本は自然災害の死亡率が高いのだ。