方針の転換や目標の変更などを説明する際に、「部下の共感を得られない」「納得してもらえない」と頭を悩ませる上司は少なくない。しかし、そもそも納得感はそこまで大事なことだろうか。優秀な上司こそ、より重視し、徹底していることがある。(山田進太郎D&I財団 COO 石倉秀明)
「納得してもらえない」という
管理職の悩み
仕事をしていると、「メンバーに納得してもらえない」「メンバーから共感を得るのが難しい」などの言葉を聞くことがある。
経営陣やマネジメント職に付く人が、なにか新しいことにチャレンジしようとする時に直面しがちな課題だ。
既存のやり方を変えたり、目的を変えたり、KPIを変えたり、ときには事業をピポッドしたりすることがあるが、その際に社員や部下に説明することが求められる。
ただ、社員や部下がどれだけ新しい方針ややり方に納得するか、共感するかは分からない。だから、コミュニケーションには細心の注意を払わないといけない。
社員や部下が納得や共感をしてくれなかった場合、それが経営者や管理職に対しての不満につながる可能性がある。そうした不満がモチベーションやエンゲージメントの低下をもたらしてしまうかもしれない。
特に、現代では、配属の希望が通らないこと、上司から納得できる話がなかったことが離職の原因にもつながり得るので、余計に神経を尖らせている人もいるだろう。そのことを危惧して、社員やメンバーがいかに納得感を持てるか、共感できるかを気にしている経営者や管理職は少なくない。
結果的に、上司として何を言うべきなのか、分からなくなっている人も多いはずだ。
ただ、本当に納得や共感はそこまで大事なのか。
個人的には、納得感や共感を必要以上に重視することはしなくていいと思っている。
むしろ、優秀で成果を出し続けている管理職ほど、部下に対して「納得」を求めることはしない。