「小池百合子首相」説が急浮上、悪夢の連立政権誕生シナリオの現実味ポスト岸田の有力候補として、政界では小池百合子氏の名前が急浮上しているという Photo:JIJI

自民党内に幽霊が出る
小池百合子という幽霊が

 古参の自民党職員が、昭和世代には懐かしい言葉で今の自民党内を自嘲していました。

「自民党内に幽霊が出る――小池百合子という幽霊である。古い自民党のすべての派閥領袖は、この幽霊を退治しようとして同盟を結んでいる。だが、小池百合子はすでに、次期首相の有力候補として認められている」

 有名な『共産党宣言』の冒頭の言葉をもじって、裏金問題などで揺れる自民党内に、ポスト岸田の有力候補として、小池百合子氏の名前が「恐怖」と共に浮上しているのです。

 確かに、今の自民党および岸田内閣の支持率は史上最悪レベルです。しかし不人気の岸田総理下ろしをして、顔をすげ替え、解散をしたところで、石破茂、河野太郎、小泉進次郎といったかつてのスターは人気が衰え、茂木敏充、萩生田光一、林芳正、高市早苗、上川陽子などの有力者が出馬したところで、劇的に人気を回復するほどの首相候補は見当たりません。

 一方、東京都知事としてコロナ禍でも着実に実績を積み重ねてきた小池百合子氏は、2020年の都知事選では366万票の圧倒的得票で当選したという実績を持ちます。しかもその4年前、2016年に安倍・菅長期政権で唯一最大の危機と言われた「希望の党」を小池氏が結党するという騒動では、自民党は政権交替の危険にさえ晒されました。よって現在のこの危機に、喉から手が出るほど候補に欲しい人材ではありますが、これほど毒のある候補もいません。

 私は、小池百合子氏の人生が嘘に塗り固められ、権力欲、上昇欲で一貫していることを完璧に暴露したと絶賛されたノンフィクション作品『女帝 小池百合子』(石井妙子著)の取材に協力したので、小池氏のどんなことをしても自分の欲望を実現するという人生観はよくわかっています。そして、実際の政権担当能力も政策の構想能力も否定的に見ていますが、今の自民党が「選挙の顔」としての魅力を感じていることは否定できません。

 自民党内で囁かれる、小池氏国政復帰(「自民党」復帰ではなく、あくまでも「国政」への復帰であり、これが自民党にとって悩ましいのです)のシナリオを紹介しましょう。