習近平Photo:picture alliance/gettyimages

中国分析で最も重要な
習近平の「権力基盤」

 いま、中国で何が起こっているのか。
 これから、中国はどこへ向かうのか。

 中国に関心を持つ、中国を警戒する全ての観察者にとって、最も直接的かつ根源的な問いであろう。この2つの問題に向き合う上で、筆者が最も重要な指標、尺度、基準になると考えるのが、中国の最高指導者である習近平(敬称略)の「権力基盤」である。これがどう変わるか、揺らぐか、動くかによって、政治、経済、外交、軍事、台湾を含め、さまざまな政策、事象、政策が左右される。

 中国民主化研究とは中国共産党研究である、という“仮説”に立脚する本連載にとっても、習近平の権力基盤は、観察・分析・検証という意味で、最大の対象にほかならない。

 本稿では、3つの視点から習近平の権力基盤を巡る現在地を検証し、今後を展望する。

習近平の権力基盤を
図る3つの視点

 ここからは、習近平の権力基盤を占う上で、筆者が現時点、あるいは近未来で最もクリティカルだと考えている3つの視点から論じていきたい。

(1)政治と人事

 習近平は2012年秋に中国共産党中央委員会総書記に、そして、翌年3月に国家主席、中央軍事委員会主席に就任し、党、国、軍のトップとして、中国の最高指導者となった。それから10年以上が経過。この期間、最も物議を醸したのは、2期目に入るタイミングで、憲法を強行的に改正し、国家主席の任期(2期10年)を解除した点であろう。

 習近平自身への権力集中、個人崇拝を強め、集団指導体制を瓦解させる“暴挙”として、日米欧をはじめとする西側諸国の間でも、習近平政権に対する不信感が強まっていった。