習近平3期目本格始動から1年
「内憂外患」の中国
中国で1年に1度行われる最重要政治会議である全国人民代表大会(日本の国会に相当、通称「全人代」)が本日(3月5日)開幕する。昨年3月の全人代で習近平第3次政権が本格始動し、習近平氏が国家主席に3選、李強氏が首相へ就任、その他、国務委員、各閣僚人事が続々と確定され、3期目政権が本格始動した。
それからちょうど1年になる。
この期間、中国を巡ってはさまざまな事象や事件が起こった。1年前に外相、国防相に就任した秦剛、李尚福両氏は失脚。閣僚の職を解かれた。現在に至るまでその背景や理由に関しては全く説明がなされていない。政治の不透明性は高まるばかりだ。
昨年2月、中国気球が米国領空を侵犯し、それを米軍が撃ち落としたことで米中関係は緊張したが、その後、両国閣僚の相互訪問や第三国における戦略的コミュニケーションを通じて、11月にはサンフランシスコで首脳会談が実現。覇権争いを巡って人権、先端技術、地政学などで対立しつつも、対話を続ける姿勢を示している。
「ゼロコロナ」政策が解除される中、経済活動や国民生活の正常化が期待されたこの1年であったが、不動産を中心に、景気回復の遅れは依然として浮き彫りになっている。1月に行われた台湾総統選を受けて、台湾海峡はどこへ向かうのか。11月に開催される米国大統領選の行方次第では、「台湾有事」リスクは一層高まるだろう。
以上、簡単に振り返ってみたが、中国情勢は引き続き緊迫し、迷走を続ける見込みである。そんな中、1年に1度の全人代で何が語られるか。
最大の注目点はやはり本日発表される「政府活動報告」であろう。これは日本の首相施政演説に相当する。中国政府を代表して、李強首相が今回初めて読み上げることになる。本稿では以下、筆者が注目する8つのポイントについて解説したい。