与党「国民の力」は大きなスキャンダルがなかったのに惨敗した

 尹政権に対する不満は度々耳にすることはあったものの、政権自体を大きく揺るがすようなスキャンダルがなかったにもかかわらず、ここまでの惨敗を期したのは、いくつかの要因が考えられる。

 まず、「共に民主党」が常に政権批判のネタにしている尹氏の夫人である金健希(キム・ゴンヒ)の存在や、3月に尹氏がスーパーを視察した際に長ネギの価格について適正な価格を答えられなかったことを左派が一斉に批判したことも一因であると言える。

 これに加えて「国民の力」党内での足並みの乱れが、結果的に国民への不信感や反感を買ったとも言える。また、党首である韓東勲(ハン・ドンフン)氏の戦略ミスを指摘する声もある。

 韓氏は一時、野党「共に民主党」の党首・李在明(イ・ジェミョン)氏の疑惑を追求して追い詰めるなどの手腕が国民から評価を受け、「次期大統領候補に」と望む声も聞かれていた。しかし最近では、政権運営や党の方針をめぐり尹氏との確執が表面化。韓氏自身も、周囲との協調が取れず自己本位な言動を指摘され、党首としての資質を疑問視する声が聞かれた。そして選挙結果を受けて党首を辞任することになり、今後への期待もなくなったと言える。