韓国の分断を示した選挙結果
筆者の周囲では、与野党どちらでの支持もなく、「中道」や「無党派」という人も多かった。そうした人たちの声に多いのは「野党の『共に民主党』の体質が嫌いだが、かと言って尹政権と与党『国民の力』の現状にも不満が多い。だからある意味その中間を取るのか、それもダメな場合は与党か野党で究極の選択をするしかない」というものであった。
また、米国と同様に左派の「共に民主党」は青、右派の「国民の力」は赤というイメージカラーであるが、政党の勝敗を色別に現した分布図を見ると、まさに韓国が東西で赤と青に真っ二つに分かれていた。東部の江原道(カンウォンド)から慶尚道(キョンサンド)は赤、西部のソウルを含めた京畿道(キョンギド)から全羅道(チョルラド)、済州島は青というものであった。
全羅道は排他的な地域性に加え、経済発展に取り残されてきたことなどから、特に保守政権への反発が強いことでも知られている。また、全羅道出身者の多くがソウルや京畿道に居住していることもあり、この地域でも左派の影響力が強いのである。
「南北で分断されているだけでなく、さらに韓国内で東西にも分断されている」と自虐的なことを言う韓国人は少なくないが、今回の選挙結果を見ればうなずける。日本でよくある「関西か関東か」のようなレベルなどとは比べ物にならないほど、韓国人の地域対立の根底には政治的思想が絡み、より複雑なのだ。