「ずば抜けて頭のいい人」が毎日ひそかにやっている“仮説の立て方”とは?
「読むのが速い人の秘密」がわかった!
読書中、私たちは文字を脳内で“音”に変換し、その音で理解しています。ポイントは「音の理解速度」。ここを鍛えれば、読書は一気に変わります。本連載は、耳から脳を鍛え、速読力を高める「速聴トレーニング」をお伝えするものです。脳を鍛えることで、理解力、記憶力、集中力もアップします。そのノウハウをまとめた『耳を鍛えて4倍速読』の刊行を記念し、本記事を配信します。

「ずば抜けて頭のいい人」が毎日ひそかにやっている“仮説の立て方”とは?Photo: Adobe Stock

「頭のいい人」がやっている“仮説の立て方”とは?

 本日は「頭のいい人がやっている仮説の立て方」というテーマでお話しします。

 仮説というと、特別な思考法のように聞こえるかもしれませんが、実はとても日常的なものです。「この言い方なら伝わりそうです」「この順番で進めれば詰まらなそうです」「このやり方は自分には合わないかもしれません」。こうした“予測”を、意識的に言葉にしたものが仮説です。仮説を持つと、情報の読み方が変わります。読むことが目的ではなくなり、使うことが目的になります。つまり、知識が「覚えるもの」から「試すもの」へ変わるのです。

 ここで大切なのは、仮説を持つことと、素直さは矛盾しないという点です。素直な人は、言われたことをそのまま実行できる人だと思われがちですが、私は、素直さとは「自分の仮説を持ちながらも、いったん相手の提示したやり方を試し、結果で確かめられる態度」だと考えています。頭の中に「こうなるかもしれません」という予測があってもいいのです。ただ、その予測を確信に変える前に、いったん実行してみて、結果を取りにいく。結果を見れば、仮説は当たったか外れたかが分かります。外れたなら、そこから修正すればいいだけです。

 一方で、うまくいかない人は、仮説を持っていないのではなく、仮説を更新できないことが多いです。たとえば、アドバイスを求めたのに実行しない人がいます。「やったら失敗しそうなのでやめました」と言うのですが、その“失敗しそう”という予測が正しいかどうかは、実行してみないと分かりません。仮説が外れているから今の結果が出ている可能性があるのに、その仮説を根拠に動かない。これは、仮説を持っていないのではなく、仮説を信じ切ってしまっている状態です。仮説は信仰するものではなく、検証して更新するための道具です。

 仮説を持つ力が強い人は、知識を得た瞬間に「では、自分の場合はどうなるでしょうか」と考え始めます。たとえば、本に「営業のアイスブレイクは天気の話が良い」と書いてあったとします。このとき、「なるほど」と受け取って終わりにするのではなく、「天気の話をしたら会話が開きやすいはずです。ただ、相手が乗ってこなかったらどうしましょうか」という“もし”を立てます。ここが仮説の入口です。

 仮説が立てば、次にすることはシンプルです。試すか、調べるか、どちらかです。実際に天気の話をしてみて反応を確認する。あるいは「天気の話は広がりにくい」という別の意見を探してみる。その結果、うまくいく条件や、うまくいかない条件が見えてきます。すると、知識が自分の手触りを持った技術に変わります。

 仮説を立てるのが難しいと感じる場合は、「自分が誰かに説明するならどう言うか」を考えてみましょう。説明しようとすると、曖昧な部分が浮き上がります。「この主張は、どの条件で成り立つのでしょうか」「例外はどこでしょうか」。そうした問いが、そのまま仮説になります。

 仮説とは、知識を「使える形」に変えるための能力ともいえます。仮説を立てて、試して、更新する。この循環が回り始めると、本を読んでも得られるものが変わります。読むことが目的だった状態から、学びを活かす道具として読めるようになるでしょう。

(本原稿は『耳を鍛えて4倍速読』の一部抜粋・取材加筆を行ったものです)