ウクライナの首都キーウにある米銀大手シティグループのアレクサンダー・マクウォーター氏のオフィスの壁には、ロシアのミサイルの破片が飾られている。ロシアとの戦争が始まり、早い段階で工場を攻撃された顧客から譲り受けたもので、長年の取引関係と再建計画の証しとなっている。開戦から2年がたち、シティは同国で事業を展開する唯一の米銀として、時に危険な状況を乗り越えている。同行のウクライナ事業を率いるマクウォーター氏は、従業員の命を守ることと、米ファストフード大手マクドナルドや英食品・日用品大手ユニリーバといった巨大企業の営業継続を支援する役割とを両立させている。シティのアイデンティティーは、グローバルバンクであることが基礎となっている。世界的な大企業は、その進出国各地で資金を保管し、従業員に給与を支払うためにシティを利用する。事業展開可能な国の数でシティ(約160カ国)に匹敵するライバルはほぼ存在せず、そうした展開力を、ジェーン・フレイザー最高経営責任者(CEO)はシティ強化計画の中心に据えている。
米シティ、戦下ウクライナで営業続ける銀行員たち
国内で唯一の米銀として、金庫室を防空壕にしながら時に危険な状況を乗り越えている
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