「えーっと」「あのー」といったノイズは、プレゼンテーションの効果を低下させる。かといって、流ちょうに話しすぎると、聞き手を飽きさせてしまう。どうすれば、聞き手の関心度を高めるプレゼンになるのだろうか。(モチベーションファクター代表取締役 山口 博)
「えーっと」をなくすには?
ビジネスパーソンにとって、プレゼンテーションの機会は、頻度の差こそあれ、避けて通れない。しかしながら、プレゼンに苦手意識がある人は少なくない。
表現力を高めるために、何に悩んでいるかを聞くと、「えーっと」「あのー」などの無用な言葉が入ってしまうことを挙げる人が多い。これらは、肝心の本題を伝わりにくくしてしまう、いわばノイズ(雑音)だ。
私は、あるメーカーA社の新任管理職109人に、日頃から話し慣れているであろう業務紹介を2分間、自分で撮影してもらった。その上で録画された内容を確認し、どのようなノイズが何回入ってしまったか、計測してもらった。
管理職登用前から重責を担い、社内外のプレゼンに相当程度慣れている人ばかりなのだが、実に93%の人のプレゼンで「えーっと」「あのー」といったノイズが発生していた。それも、わずか2分の間に、1人あたり平均9.2回、13秒に1回も起きてしまっているのだ。これでは伝わる話も伝わらない。
どうやってノイズを解消すればいいのか。そう聞くと、「次の話が咄嗟に出てこないから、ノイズが挟まってしまう。原稿をしっかり暗記するしかない」「アナウンサーのように流ちょうに話せるよう、何度も予行練習するしかない」と答える人が少なくない。
しかし、流ちょうなプレゼンにも、実は問題がある。
原稿を暗記して練習すると、確かにすらすらと話せるかもしれない。しかし、単調になって、プレゼンテーション効果の減少を加速させてしまう可能性がある。「この人はいつもきれいに話すのだが、話が印象に残らない」「この人の話は、すぐに飽きてしまう」と思われている人の大半は、このタイプだ。
どれほどすばらしいプレゼンでも、時間の経過とともに、聞き手の関心度、集中度を低下させると考えた方がよい。
コーヒー好きな人でも、2杯目のコーヒーは1杯目のコーヒーよりおいしく感じられないという、「限界効用逓減の法則」が、プレゼンにも当てはまると私は考えている。
それでは、ノイズを発生させずに、なおかつ聞き手の関心度、集中度を高めるためには、どうすればよいのだろうか。