【あなたも当てはまる?】コミュ障という言葉では済まされない「社交不安障害」の特徴とは?
そう語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/種岡 健)

【あなたも当てはまる?】コミュ障という言葉では済まされない「社交不安障害」の特徴とは?Photo: Adobe Stock

コミュ障、恥ずかしがり屋、赤面症…
勘違いされやすい「社交不安障害」とは?

 社交不安障害という病気を聞いたことがありますか?

「人前で話すときに緊張してしまう」
「他人からの視線が怖い」
「すぐに顔が赤くなってしまう」

 このように対人関係の恐怖を感じている人たちがいます。
 コミュ障や恥ずかしがり屋と見なされがちですが、ただの緊張と思われがちなこれらの問題は、実は深刻な病気が隠れている可能性があります

 社交不安障害とは、人前での話し方や食事、筆記など、他人の目が気になり過ぎてしまい、日常生活に支障をきたす精神疾患のことです

 たとえば、重要な会議やプレゼン、大切な試験の前には誰でも緊張しますよね?

 しかし、その緊張が強すぎるため「何も話せなくなる」「食事が喉を通らない」「手が震えて字が書けない」といった問題が日常生活に影響を及ぼし、仕事や家庭生活、恋愛などに問題が発生するとき、それは社交不安障害である可能性があります。

「人見知りが激しい」や「人付き合いが苦手」という問題は、日本では「本人の性格や育ちの問題」と見なされがちですが、これも病気のせいかもしれません。
 社交不安障害の場合、感情を司る脳の部位である扁桃体に問題があって、人に対する恐怖に対して通常よりも敏感に反応している可能性があります

その生きづらさは「病気」かも?

 また、性格的な要因、たとえば元々人前で話すのが苦手な人でも、我慢して孤独に慣れすぎた結果、社交不安障害を発症することもあります。
 あなたが「自分の性格や気質のせいだ」と思っている苦痛も、実は病気のせいかもしれません

「ただの恥ずかしがり屋」というレッテルを貼る前に、「病気のせいではないか?」と意識するだけで、苦痛を減らすことにつながるでしょう

 社会人として働き始めたり、社会に出たばかりの人は、学生時代とは異なり、人前で発表したり、自主的に行動しなければならない場面が増えます。

 もし病気の症状によって生きにくさや日常生活に支障を感じている場合は、治療が可能な場合があります。

「自分のせいだ」と諦めずに、人への恐怖心やコミュニケーションの問題を”治療する”ことも検討してみてください

(本稿は、頭んなか「メンヘラなとき」があります。の著者・精神科医いっちー氏が特別に書き下ろしたものです。)

精神科医いっちー
本名:一林大基(いちばやし・たいき)
世界初のバーチャル精神科医として活動する精神科医。
1987年生まれ。昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟にて勤務、論文を多数執筆する。SNSで情報発信をおこないながら「質問箱」にて1万件を超える質問に答え、総フォロワー数は6万人を超える。「少し病んでいるけれど誰にも相談できない」という悩みをメインに、特にSNSをよく利用する多感な時期の10~20代の若者への情報発信と支援をおこなうことで、多くの反響を得ている。「AERA」への取材に協力やNHKの番組出演などもある。