日経平均が初の4万円超えでも消費はコロナ禍前以下、株価と経済の「乖離」どう埋めるかPhoto:PIXTA

株価上昇のトレンドは本物だが
消費が増える「好循環」はまだ

 日経平均株価は3月4日には史上初の4万円台を付け一時は4.1万円まで上がった。4月以降は米国金利の高止まりや中東情勢の不透明感などからやや調整しているが、好調な株価には企業業績の裏付けがある。バブルではない。

 一方、実質GDP(国内総生産)で見た日本の経済成長は低迷が続いている。

 とりわけ個人消費は、コロナ禍前、つまり4年前の水準をなおも下回っており、2023年10~12月まで3四半期連続のマイナス成長だった。

 GDPの過半を個人消費が占めるのだから、個人消費が低迷する国で経済成長は起きない。中期的な経済成長の実力を表す潜在成長率は、1990年代に大きく低下したまま、今も0.5%前後での低迷が続く。

 アベノミクスも異次元緩和もその意味での効果はなかった。株価と実体経済の乖離は広がる一方だ。

 日本銀行は3月に「賃金と物価の好循環」を確認したとしてマイナス金利を解除するなど金融政策の正常化に踏み出したが、今の状況は「好循環」とはとてもいえない。

 本来の好循環実現にはこの「乖離」を埋める必要がある。そのカギとなるのは企業を国内投資に向けさせる新たな「成長ストーリー」だ。