上場の翌年は経営が悪化する
「2年目のジンクス」がある

 実は、上場は、会社の事業そのものにもネガティブな影響を与えます。
 上場前の半年~1年程度は、社長が上場の準備に追われるものです。この間、「新たな事業の種まき」がおろそかになることが考えられます。足元のビジネスは現場の社員で回していけても、提携先を探すなど1年先、2年先を見越した案件はやはり社長が動かなくては話になりません。種まきが止まってしまった影響はすぐには目に見えませんが、上場からしばらくして数字に表れることになります。

 また、現場の社員の仕事に対する取り組みが変化することも少なくありません。急にやる気を失うというのではなく、「ウチは上場企業だから」という安心感が、ほんの少しだけ仕事への取り組みの手を緩めるのです。

 たとえば、営業担当者が1ヵ月に50件の取引先を訪問していたとすると、上場後はそれが49件になったりします。売り上げの機会が2%減る現象が全社的に起きれば、業績に悪影響を及ぼすのは必至です。

 先に述べたコストアップと相まって社員の気の緩みが蔓延すると、上場後に利益率が数パーセントも落ちてしまう会社は珍しくありません。当然、株価はどんどん下がっていきます。こうした現象はよく「上場2年目のジンクス」などと言われますが、実は、起こるべくして起きている問題なのです。

 2年目のジンクスは、起きないように努力しなければ必ず起きます。上場には、信用が増す、仕事が増えるといったビジネス上のメリットがたくさんありますが、それを相殺しかねないほどの危険性も潜んでいることをよく認識しておかなくてはなりません。

 ですから、私は上場が決まった企業の社長に会うと必ず、「上場後1年間は未上場のときのように振る舞ってください」とアドバイスします。上場のメリットを得ながらジンクスにはまらず順調に成長を続けるには、「上場後も従来と変わらない姿勢を保ち続けられるかどうか」が鍵なのです。

ベンチャーを目指している皆さんにお伝えしたいのは「卵を産んで死んでしまうサケ」ではなく、「毎朝、卵を産むメンドリ」を目指してほしいと思っています。

※この原稿は、『5700人の社長と会ったカリスマファンドマネジャーが明かす 儲かる会社、つぶれる会社の法則』より、抜粋、再編集したものです。


【セミナー概要】
日 時 : 2013年4月11日(木)19時開演(18時30分開場) 20時30分終了予定  
会 場 : 東京・原宿 ダイヤモンド社9階 セミナールーム
住 所 : 東京都渋谷区神宮前6-12-17
料 金 : 入場無料(事前登録制)
定 員 : 60名(先着順)
主 催 : ダイヤモンド社
※今回、セミナーテキストとして、書籍『5700人の社長と会ったカリスマファンドマネジャーが明かす 儲かる会社、つぶれる会社の法則』を使用しますので、ご来場時に必ずお持ちになって下さい。(当日会場でも販売いたします。)
お問い合わせ先 :ダイヤモンド社書籍編集局(担当:中島)
TEL 03-5778-7294 ・ e-mail:pbseminar@diamond.co.jp
詳細・お申込みは、こちらから
https://diamond.jp/ud/bkseminar/5135a4456a8d1e1580000002 

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