配属ガチャPhoto:PIXTA

希望する職種や勤務地に配属されるかどうか分からない「配属ガチャ」。配属ガチャにハズれたら4人に1人が退職を検討するというデータもあるほど、新入社員のモチベーション低下や早期離職につながる問題となっています。近年、こうした状況に対して、多くの企業が採用方法を見直すなど、対策に取り組み始めています。この配属ガチャ問題に対して企業ができることは、そして現場の上司ができることは、何でしょうか。(グロービス経営大学院教員 太田昂志)

日本特有の雇用慣行が生み出した「配属ガチャ」

「配属ガチャ」――。これは、新入社員が希望する職種や勤務地に配属されるかどうかわからない状況を、カプセルトイやソーシャルゲームの「ガチャ」になぞらえた俗語です。

 例年、初期配属が決まる5月から6月にかけて、「配属ガチャにハズれた」と嘆く声がそこかしこで聞かれます。

 この配属ガチャには、日本特有の雇用慣行が影響しています。

 多くの日本の企業では、現在も「新卒一括採用」、そして「総合職採用」が主流です。こうした採用方式は、ポジションをもとにした中途採用とは異なり、応募時点で具体的な職種や勤務地は決まっていません。それぞれの配属先は、本人の希望や能力・適性、さらには入社後、数カ月間にわたって行われる「新入社員研修」の様子も加味しながら総合的に決定されます。

 そのため、”本人の希望”だけを重視した配属が難しく、「配属ガチャ」が生じるのです。