「仕事が遅い部下がいてイライラする」「不本意な異動を命じられた」「かつての部下が上司になってしまった」――経営者、管理職、チームリーダー、アルバイトのバイトリーダーまで、組織を動かす立場の人間は、悩みが尽きない……。そんなときこそ頭がいい人は、「歴史」に解決策を求める。【人】【モノ】【お金】【情報】【目標】【健康】とテーマ別で、歴史上の人物の言葉をベースに、わかりやすく現代ビジネスの諸問題を解決する話題の書『リーダーは日本史に学べ』(ダイヤモンド社)は、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、伊達政宗、島津斉彬など、歴史上の人物26人の「成功と失敗の本質」を説く。「基本ストイックだが、酒だけはやめられなかった……」(上杉謙信)といったリアルな人間性にも迫りつつ、マネジメントに絶対活きる「歴史の教訓」を学ぶ。
※本稿は『リーダーは日本史に学べ』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。

三流の管理職は「自分の目」だけで部下を評価する。では、超一流のリーダーは?Photo: Adobe Stock

部下の長所を
どう捉えるか?

リーダーの視点だけでは、気づかない部下の長所もあります。たとえば、リーダーの目が届かないところで、後輩の指導に熱心にとり組んでいるケースがあります。

そうしたケースをとりこぼさないためには、自分の目だけでなく、ほかのメンバーや外部機関の客観的な目からも部下の長所を知ろうとすることです。

具体的には、一緒に仕事をしているほかのメンバーから長所を聞いてみるのです。

部下の長所を把握する
客観的な視点

そのためには、日ごろからとりとめのない雑談を含めたざっくばらんなコミュニケーションがあったほうがいいのですが、より定型的には同僚や部下を含む周囲が個人を評価する「360度評価」も長所の確認に活用できます。

さらに、外部機関の調査も、部下の長所の確認に活かせます。

アメリカのギャラップ社が提供している「クリフトンストレングス」という調査は、メンバーの長所の確認に活用できます。部下の長所が確認できたら、実際にどのように活用するのかを検討します。

組織の成長のために
強みを活かすことを伝える

具体的には、それぞれの長所が、どのような役割で活かせるかを検討していきます。

たとえば、後輩の指導に日ごろから熱心な人なら、その強みを活かして、新人教育の担当者に抜てきすることも1つの手です。

ただし、役割を見直すときには、その人への丁寧な説明が欠かせません。たとえ強みを活かすための見直しだと伝えても、「いまの仕事を評価されていないから配置換えされるのかも」とネガティブにとらえる人もいるからです。

この見直しは、その人の強みを活かすとともに、組織の成長にとって大切な役割を担ってもらうためだということも伝えるのがポイントです。

部下の強みの活用こそ
組織を成長させる原動力

そうすることによって自分が評価されていると感じ、配置換えすることを前向きにとらえて、高いモチベーションで仕事に臨めるようになりやすいのです。

私がかつて勤務していたコンサルティング会社でも、コンサルティングの案件がなかなか増えなくて苦しんでいるメンバーがいました。

しかし、そのコンサルタントが強みとする組織・人事のコンサルティングに注力するようにしたことで、案件を増やせたのです。部下の強みの活用こそ、組織を成長させるためには必須になります。

部下の長所を活かすための3つのポイント
1 まずはリーダー自身が、部下の長所を見つけようとする意識をもつ
2 自分の目だけでなく、第三者や外部機関の客観的な視点で長所を探る
3 役割を見直すときは、組織の成長のためにも強みを活かすことを伝える

※本稿は『リーダーは日本史に学べ』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。