人の上に立つと、やるべき仕事や責任が格段に増える。メンバーの模範として働きつつ、部下の育成や業務管理など、プレーヤー時代とは異なるタスクが多く発生し、はじめは「何から手をつければいいのだろう…」と戸惑ってしまうだろう。
そんな悩めるリーダーたちにおすすめの書籍が、株式会社識学の代表取締役社長・安藤広大氏の著書『とにかく仕組み化』だ。大人気シリーズ最新刊の本書では、「人の上に立つためには『仕組み化』の発想が欠かせない」というメッセージをわかりやすく説く。
本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、「出世する人」か「一生ヒラ社員」か、その差を生み出す1つの考え方をご紹介する。(構成/種岡 健)
「歯車」という言葉への誤解
あなたは、出世できる人でしょうか?
それとも、一生ヒラ社員でしょうか?
ここであなたに1つ確かめてほしいのは、「歯車」として生きる覚悟についてです。
「あなたは社会の歯車です」
という言葉を聞いて、どのように感じるでしょうか。
「歯車なんて絶対に嫌だ」
「もっと自分らしくありたい」
「個として認めてもらいたい」
「替えが利くのではなく、自分がいなくなったら困ってほしい」
そのように反発するのではないでしょうか。
個人の時代と呼ばれ、そのような考えを持つ人が増えました。
子どもの頃は誰しも、「自分が中心になって世の中が動いている」という考えを持つそうです。自分の目に見えていないものは存在せず、自分が世界の主人公のように感じて生きています。
やがて、大人になる過程において、徐々に「世の中は自分中心で動いていない」ということを学んでいきます。
自分がいなくても、何事もなく世の中が回ることを知り、そこで一度、絶望感を味わうはずです。
しかし、その事実を受け入れて、さまざまなことを諦めて、社会と折り合いをつけ、大人になっていきます。
「組織あっての個人」でしかない
鳥の群れやアリの巣を見てください。
1羽1羽、1匹1匹が、見事に有機的に動き、大きな目的を果たしています。
「どこの島に行けば、全員が暖かく豊かに過ごせるのか」
「何をどこに運べば、アリの巣の全員にエサが行き届き、繁栄するのか」
組織全体の大きな利益を、本能的に得ようとしているはずです。
そして、それぞれがその役割を果たしています。
これを見て、「群れの一部になりたくない」と反発するのか。
あるいは、「この仕組みを知り、大きなことを成し遂げたほうが自分にとっての利益につながる」と思うのか。
「歯車になること」の力に気づき、いったん受け入れた人から、成長ははじまります。
任された機能を果たし、ゴールへと迷わず進むこと。
行動の後に、きちんと評価を受けること。
その評価をもとに、試行錯誤をすること。
そうやって、ちゃんと「歯車」になるということの重要性を再認識してみてください。
その組織の中で求められている役割を理解し、自分自身も仕組みの一部に組み込まれるのです。
そのスキルさえあれば、じつは、どこに行っても活躍できるようになります。
どんなビジネスモデルでも通用する人に成長できます。
逆説的ですが、自分が替えの利く人であることを認めた人が、社会で活躍できるようになっているのです。
そうなることこそが、社会人としての成功です。
あるいは、そういう部下を育てることが、リーダーや上司の成功です。
さらに、そんな組織をつくり上げることが、社長や経営者の成功とも言えます。
この考え方ができるかどうかで、あなたの会社員人生は決まります。
(本稿は、『とにかく仕組み化』より一部を抜粋・編集したものです)