人の上に立つと、やるべき仕事や責任が格段に増える。メンバーの模範として働きつつ、部下の育成や業務管理など、プレーヤー時代とは異なるタスクが多く発生し、はじめは「何から手をつければいいのだろう…」と戸惑ってしまうだろう。
そんな悩めるリーダーたちにおすすめの書籍が、株式会社識学の代表取締役社長・安藤広大氏の著書『とにかく仕組み化』だ。大人気シリーズ最新刊本書では、「人の上に立つためには『仕組み化』の発想が欠かせない」というメッセージをわかりやすく説く。
本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、「出世する人」か「一生ヒラ社員」か、その差を生み出す1つの考え方をご紹介する。(構成/種岡 健)

「出世する人」か「一生ヒラ社員」か、その差を生み出す1つの考え方Photo: Adobe Stock

「歯車」という言葉への誤解

 あなたは、出世できる人でしょうか?
 それとも、一生ヒラ社員でしょうか?

 ここであなたに1つ確かめてほしいのは、「歯車」として生きる覚悟についてです。

「あなたは社会の歯車です」

 という言葉を聞いて、どのように感じるでしょうか。

「歯車なんて絶対に嫌だ」
「もっと自分らしくありたい」
「個として認めてもらいたい」
「替えが利くのではなく、自分がいなくなったら困ってほしい」

 そのように反発するのではないでしょうか。

 個人の時代と呼ばれ、そのような考えを持つ人が増えました。
 子どもの頃は誰しも、「自分が中心になって世の中が動いている」という考えを持つそうです。自分の目に見えていないものは存在せず、自分が世界の主人公のように感じて生きています。

 やがて、大人になる過程において、徐々に「世の中は自分中心で動いていない」ということを学んでいきます。
 自分がいなくても、何事もなく世の中が回ることを知り、そこで一度、絶望感を味わうはずです。
 しかし、その事実を受け入れて、さまざまなことを諦めて、社会と折り合いをつけ、大人になっていきます

「組織あっての個人」でしかない

 鳥の群れやアリの巣を見てください。
 1羽1羽、1匹1匹が、見事に有機的に動き、大きな目的を果たしています。

「どこの島に行けば、全員が暖かく豊かに過ごせるのか」
「何をどこに運べば、アリの巣の全員にエサが行き届き、繁栄するのか」

 組織全体の大きな利益を、本能的に得ようとしているはずです。
 そして、それぞれがその役割を果たしています。

 これを見て、「群れの一部になりたくない」と反発するのか。
 あるいは、「この仕組みを知り、大きなことを成し遂げたほうが自分にとっての利益につながる」と思うのか。

「歯車になること」の力に気づき、いったん受け入れた人から、成長ははじまります。

 任された機能を果たし、ゴールへと迷わず進むこと
 行動の後に、きちんと評価を受けること
 その評価をもとに、試行錯誤をすること

 そうやって、ちゃんと「歯車」になるということの重要性を再認識してみてください。
 その組織の中で求められている役割を理解し、自分自身も仕組みの一部に組み込まれるのです。

 そのスキルさえあれば、じつは、どこに行っても活躍できるようになります
 どんなビジネスモデルでも通用する人に成長できます。
 逆説的ですが、自分が替えの利く人であることを認めた人が、社会で活躍できるようになっているのです。

 そうなることこそが、社会人としての成功です。
 あるいは、そういう部下を育てることが、リーダーや上司の成功です。
 さらに、そんな組織をつくり上げることが、社長や経営者の成功とも言えます。

 この考え方ができるかどうかで、あなたの会社員人生は決まります。

(本稿は、『とにかく仕組み化』より一部を抜粋・編集したものです)