その2。日本一を達成した際のディテールを頭に描いてもらいました。真夏の甲子園球場。決勝戦の相手は昨年の優勝校・仙台育英高校。自分たちのベンチは3塁側。天気は曇り。気温は35度で蒸し暑い。9回裏。最後の打者はこの試合マルチヒットの強打者。3番手の投手のスライダーを引っ掛けて内野ゴロに。ショートからファーストに送球されるボール。まるでスローモーションのようにファーストミットに収まったボール。その瞬間、グラウンド上のナインと、ベンチにいた選手もマウンドに集まって3点ポーズ(No.1ポーズ)を決めている。

 その3。日本一という夢を達成した時の感情を付け加えてもらいました。ここまでやってきたことを思い出して涙が止まらない。とにかく嬉しい。優勝を達成したことで、注目を浴びるのも悪い気持ちはしないでしょう。テレビカメラを向けられるのは少し恥ずかしいけど、優勝して良かったという気持ちがどんどん湧いてきます。

……と、具体的にイメージをしてもらったのです。ディテールが具体的であればあるほど、夢にリアリティーが増しますよね。

 そして、夢目標はイメージするだけでなく、心の中で強く持ち続けることも大事です。脳は思い続けることで、「過去の経験」も「未来の経験」も、同じ経験としてとらえてくれます。常識の枠は、実体験がベースになってつくられるとお話しました。

 しかし、脳は、イメージトレーニングを重ねることで「未来の経験」も実体験と同じように受け止めてくれるのです。脳の肯定的錯覚です。

 脳には自分がイメージしたことを、実現させようとする特徴があります。

 夢目標がかなった状況をリアルに繰り返しイメージすればするほど、脳は未来の成功体験を実現しようと働いてくれます。そして、そうありたいという願望が高まるとともに、夢目標実現に向けた行動意欲と行動力に大きなパワーを与えてくれるのです。