イランのエブラヒム・ライシ大統領の急死が、同国の統治体制に直ちに影響を及ぼすことはほぼないだろう。ある大統領経験者はかつて、自身の職務を「体制の後方支援担当者」と表現した。次期大統領は歴代大統領と同様に、最高指導者アリ・ハメネイ師とイラン革命防衛隊(IRGC)に指示された政策を執行するだろう。ただ、ライシ氏が63歳で死去したことは、ささいな問題ではない。同氏はハメネイ師の後継に挙げられることが多い2人の候補者のうちの1人で、ライシ氏の不在は現在85歳のハメネイ氏が死去した場合の後継問題に影響を与えるだろう。イラン建国の父で初代最高指導者のルホラ・ホメイニ師は、自身が円滑な権力継承の手はずを整えたと考えていた。ホセイン・アリ・モンタゼリ氏は、ホメイニ師が教えたゴムの神学校での忠実な生徒で、自らの師を同校の校長に昇進させる上で主要な役割を果たした。ホメイニ師が国外追放になった際、モンタゼリ氏はホメイニ師のイラン国内での「全権代表」となった。革命後にホメイニ師は、モンタゼリ氏を副最高指導者と後継者にすると発表した。
【寄稿】ライシ氏亡き後、イランの後継問題は
米国はハメネイ師死去時の混乱を利用する準備を
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