ウォール街の予想がことごとく外れる1年の中でも、この春の米株市場では思いがけない勝ち組が目立っている。公益事業が他のセクターを上回っているのだ。
電力会社の株価上昇は、低迷が続いた2023年からの反発が一因だ。だが、それだけではない。米経済が高金利を切り抜け、人工知能(AI)を巡る熱狂を現実に変えることができるとの確信が強まっていることも反映している。
ここ数週間に公表された統計では、雇用の伸びが落ち着き、インフレが再び緩やかに鈍化し始めていることが示されており、経済状況の警戒すべき悪化は見られていない。こうした状況を背景に、電力会社はハイテクブームを見越した投資対象となっている。AIが必要とするデータセンターはますます多くの電力を消費するようになっており、電力会社はその電力を供給することになるからだ。