米経済が困難な状況に向かっていたら、誰もジャンク(投機的格付け)債市場のことなど口にしなかっただろう。
比較的安全な米国債に対するジャンク債のスプレッド(上乗せ金利)は、新型コロナウイルス流行期の最低水準近くまで縮小している。デフォルト(債務不履行)や破産の急増を招く景気減速への懸念が弱まっている兆候と言える。
格付けの低い債券はインフレ沈静化の兆しや利下げ期待に支えられた金融市場全体の上昇気流にすくい上げられている。投資家は8%程度の利回りに引きつけられており、リフィニティブ・リッパーによると、ジャンク債ファンドは年初からこれまで37億ドル(約5800億円)の純流入となっているという。同期間に純流入となるのは2020年以来のことだ。