
燦々と太陽が降り注ぎ、植物も動物も最も活動的になる夏。「元気いっぱい」という言葉が似合うこの季節だが、実は夏特有の要因によって「うつ」を発症してしまうリスクがあるのはご存じだろうか。あまり知られていない夏季の「うつ」と、その症状・対策について医師に話を聞いた。(清談社 沖美魅)
うつ病の要因は
内因性と心因性の2つ
季節に関係する心の病として、「冬季うつ」を聞いたことがある人は多いのではないだろうか。これは、日照時間の減少が原因となり引き起こされる病で「季節性感情障害」と呼ばれる医学的にも認められている疾患だ。
しかし、日照時間の長い夏にもうつ病のリスクが潜んでいるという。パークサイド日比谷クリニックで院長を務める、精神科医・立川秀樹氏に話を聞いた。
「一般的に、うつ病の原因には内因性と心因性の2つがあります。冬季うつ病は内因性で、夏季のうつ病は心因性。つまり、夏季のうつは季節性感情障害ではないんです。ただ、夏特有のストレスが増えることで、うつ病の発症リスクが高くなる人がいる。そのため、『夏季うつ』と表現しています」
内因性のうつ病には、先天性の持って生まれた特性が大きく関係しており、冬季うつや産後うつなどがそれに当てはまる。しかし、心因性のうつは外的なストレスが大きな要因となって引き起こされるという。
「例えば、人間関係をはじめとした仕事上の悩みや、育児・介護に関する家庭内の問題といった、精神的に”ギリギリ“のストレスを抱えている人がいたとします。そうした普段から感じている悩みに加え、夏は家の外に出ると照りつける太陽や暑さで吹き出す汗、蒸し暑い満員電車など、外的な要因によるストレスが加算される。これらの要因が重なることで、普段から大きなストレスを抱えて生活している人が、夏にうつを発症する可能性が高まるんです」