G20議長国、ブラジルが提案
税収2000億ドル?温暖化や貧困対策に
OECD(経済協力開発機構)はここ10年余り、国際協調を通じて税源浸食と利益移転に対抗するための「BEPSプロジェクト」に取り組み、巨大多国籍企業の利益に対する15%のグローバル・ミニマム法人税課税についての国際合意などを生み出した。
合意に従い、日本でもこの4月から新制度が施行されているが、ここにきて次の国際課税合意の焦点として、G20(20カ国・地域)による「億万長者ミニマム税構想」が浮上してきた。
2024年のG20議長国を務めるブラジルのフェルナンド・アダジ財務相が、億万長者に対する2%のグローバル・ミニマム税を課税し、地球温暖化や貧困対策などの持続可能な成長のための財源確保と富裕層の税逃れによる不公正を是正する国際的な枠組み合意にG20で取り組む考えを示した。
EU(欧州連合)委員会のレポートでは、世界の10億ドル以上の純資産を持つ超富裕層が保有する富は合計約13兆ドルとされ、仮にこうした金融資産や不動産などの資産に2%のミニマム課税をするとしたら2000億ドル以上の追加税収が確保される計算だという。
実現すれば、人材や資金の海外流出の懸念などからこれまで「抜け穴」だった富裕層課税の有効なツールとしてそれぞれの国の財源になることはもちろん、地球規模の問題に各国が一体で取り組む財政基盤ができる期待が持てる。