心の病気になる寸前の私を救ってくれた上司の言葉

 所長になった私はパニック状態でした。
 管理職としてデータ管理もしたことなく、パソコンも苦手。前任者からデータを引き継いでもチンプンカンプンでした。
 スタッフとの関係もギクシャク。
「大宮をなんとかしたい。そのためには自分の言うことを聞かせなくては!」と思うほど、スタッフに高圧的になりました。
 スタッフが当時を振り返って、「あのときの所長は毎日鬼の形相だった」と言うのですから、本当にひどいものです。
 結果として、どんどん孤立し、体も壊しました。
 ストレスで夜中に吐いたり、血尿が出たりするようになったのです。

 私のモットーは「仕事は楽しく!」ですが、それがまったくできません。
 それどころか、
「この場から消えてなくなってしまいたい」
 と思うようにすらなりました。

 でも、会社を辞めたら、私の能力を評価し、抜擢してくれた社長の顔に泥を塗ってしまう。だから辞められない。でも仕事からは逃げ出したい。精神的にも肉体的にも追いつめられ、心の病気になる寸前だったのでしょう。

 そんな私の窮地を救ってくれたのは上司の言葉でした。

「無理に一生懸命やらなくてもいいから、三浦さんの得意なことからやりなさい」

 この言葉に救われました。
 忘れていたことを思い出し、ジーンとしました。
 私が得意なのは、パソコンや数字とにらめっこしていることではなく、みんなが楽しく仕事ができる環境をつくることです。

 自分ができないことをやろうとしてもうまくいくわけない。
 自分ができないこと、わからないことはみんなに助けてもらえばいい。
 売上も改革も大事だけど、いちばん大切なのは「仕事は楽しく」やること。
 みんなが仕事を楽しんでいない限り、なにもうまくいくはずがない。
 そのことに気がついた瞬間、ものすごく気が楽になりました。