【寄稿】揺らぐ米の防衛力、日本は支援できる=駐日米大使Photo:Bloomberg/gettyimages

 米首都ワシントンで1993年に開かれた悪名高い晩さん会で、レス・アスピン国防長官(当時)は米防衛産業のリーダーらに対し、国防予算の削減に備えるべきだと警告した。冷戦はすでに終結し、整理統合が必要だった。

 その通りだった――ある程度までは。ただし残念ながら、米国は大幅に度を越してしまった。政府の防衛事業を請け負う主要業者の数は1990年代以降、51社から5社に急減した。2018~23年の間に推定1万7000社が同セクターから撤退し、海軍造船所の数は第2次世界大戦下のピーク時の11カ所から現在は4カ所に減っている。

 ある程度の合理化は冷戦後に起きて当然だった。ところが今日の安全保障状況を見ると、根本的な再検討が必要だ。ロシアがウクライナを侵攻して2カ月以内に、米国は自国が備蓄する携行式地対空ミサイル「スティンガー」や対戦車ミサイル「ジャベリン」の約3分の1をウクライナに供与した。米政府はそれ以降、同盟国との約束を果たすために、これらを含めた各種兵器の需要にできる限り対応しようと努めている。