ASMLを巻き込む米中の半導体競争Photo:Bloomberg/gettyimages

 クリストフ・フーケ氏は4月、最先端の機械を製造する、あまり知られていない企業のトップに就任した。米中の半導体競争の渦中にある企業でもある。

 フーケ氏の仕事の一つは、ASMLホールディングの最先端の半導体製造装置を中国に売らないという西側諸国の要求に応えつつ、主要事業である最先端ではない装置の市場から中国を締め出さないようにするという、一段と難しさを増すかじ取りだ。

 最高経営責任者(CEO)のフーケ氏(51)はフランス人で、技術に精通し、政治に対して慎重で、目立ちたがらない人物とされている。これはASMLの長年の経営方針とも重なる。だが同社は今、地政学に無頓着ではいられない状況に立たされている。