「孫正義にハシゴを外されて大損失」それでも尊敬できてしまうワケPhoto:JIJI(孫正義氏)/Photo by Motoyuki Ishibashi(熊谷正寿氏)

想像を絶するスピードとスケールで10兆円企業をつくりあげた経営者から学ぶべきことは多い。孫正義ソフトバンクグループ代表の評伝『志高く 孫正義正伝 決定版』(実業之日本社文庫)の著者井上篤夫氏が孫氏を深く知る人物と対談し、ビジネスパーソンに学びをお届けする連載「ビジネス教養としての孫正義」の第16回。対談相手は、GMOインターネットグループ社長で「孫正義ウォッチャー」を自称する熊谷正寿氏。孫正義氏をひと言で表すと?孫氏との苦い思い出も振り返ってくれました。

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「孫正義にハシゴを外されて大損失」それでも尊敬できてしまうワケ
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GMO熊谷社長が
孫正義氏を一言で例えると?

井上 熊谷社長にとって孫正義という人物は、ひと言で表すとどんな人ですか? 

熊谷「炎」ですね。孫さんがビジネスに向かう姿は、まさに火の玉です。それゆえに、「近くに寄りすぎると火傷してしまう」ということもあるように思います。

 それに対して僕自身は、どんな状況や相手にも形を合わせられる「水」だと自覚しています。孫さんの炎ほどではありませんが、「火」の部分もあるので、「火を秘めた水」と言えるかもしれません。

 以前、ソフトバンクとビジネス上のお付き合いをする機会があったんですけど、孫さんって自由奔放なところがあるじゃないですか。突然違うことをやり始めたりします。実は、僕も孫さんから梯子を外されるような形で、大きな損失を被ったこともあるんです(笑)

「孫正義にハシゴを外されて大損失」それでも尊敬できてしまうワケ熊谷正寿氏 Photo by Motoyuki Ishibashi

 でも、同じ経営者として、孫さんのことは心から尊敬しています。実は僕、「孫正義ウォッチャー」だったんですよ。若い頃から起業家を目指していたので、「イケてる経営者」の研究が趣味なんです。

 GMOがインターネット事業を開始したのは95年なんですが、ウォッチャーになったのはその前後の時期。孫さんに会うためにソフトバンクの株を買って株主総会に足を運んだり、講演会を聞きに行ったりしていました。