減量薬の使用、やめた私に起きたことサンフランシスコ郊外の自宅近くでワークアウトに励む筆者(5月21日) Photo:Loren Elliott for The Wall Street Journal

 御しがたい食欲が戻ってきた。最初はたいしたことはなかったが、すぐにどかんと来た。私は大ヒットしている減量薬「マンジャロ」のおかげで、驚くほど簡単に体重を18キログラム減らすことができた。強烈な食欲に気付いたのは、薬の摂取を中止して約3週間後のことだ。

 マンジャロを使用した5カ月間、私は自由になったような感覚を経験した。それまでは自分の中にギリシャ古典劇の合唱団がいて、1000人が声をそろえて私に食べろと常に命じていたが、その声は沈黙した。ポテトフライもドーナツもシュガーフロストのコーンフレークも、もう私に向かって大声で叫ぶことはなかった。その後、薬の使用をやめた。減量のためにマンジャロやオゼンピックのような薬を使う人の多くもそうしている。最大の要因はコストで、私は1カ月に1000ドル(約15万6000円)を自分で支払っていた。ほとんどの保険会社がこうした薬を保険適用するのは、主な用途である糖尿病治療に使う場合だけなのが一般的だ。体重が減ったにもかかわらず、製薬会社が勧めるように一生を薬に頼って暮らすことに複雑な思いもあった。