ガソリン高騰に対する負担を軽減するための、いわゆるガソリン補助金の継続が問われている。電気・ガス料金の補助金が5月末で終了し、家計への負担は増えた。補助金が終了した場合、ガソリン代はいくらに値上がりするのか。各地の物価の差も考慮して試算し、ランキング化すると実に面白い結果が分かった。【前後編の前編】(桃山学院大学経営学部教授 小嶌正稔)
独自試算!補助金終了後の
ガソリン「実感価格」ランキング
電気・ガス料金に対する国の補助金が5月末で終了したニュースを追っていて驚いた。日本経済新聞によると、支援終了を控えた5月下旬、政府関係者は電力やガスの小売企業に対して「7月から料金が上がるとは書かないで」と強く念押ししたそうだ。その結果、各社がリリースした7月請求分の料金に関する発表資料にそうした文言は一切載らなかったという。電気・ガスの単価など消費者は詳しく知らないだろうから、値上げと書かなければ分からないとでも思ったのだろうか。実に稚拙なやり方だ。
一方、いわゆるガソリン補助金(燃料油価格の激変緩和事業)は継続された。とはいえ、6月にも終了に向かって動き出す可能性がある。2022年1月に始まってから2年半が経過し、この間に7度も変更・延長を繰り返し、国民の血税を約5兆円も使ってきた(予算措置は6兆円超)。
石油業界を専門に研究してきた筆者は、自由市場経済のメカニズムを完全に無視したこの“支離滅裂”な政策には一貫して反対している。しかしながら、昨今のモノやサービスの値上げに苦しむ消費者にとっては、ガソリン代の負担軽減に役立ってきたのも事実だ(自動車ユーザーか否かの不公平感は甚大だが、本稿では横に置く)。
では、補助金が終了したら、ガソリンの末端価格はいくらになるのだろうか? 地域によって物価の差があるので、消費者物価地域差指数を使って、各都道府県の消費者が生活の中でガソリン価格をどの程度に感じるかを「実感価格」として試算し、高い順にランキングした。
すると、全国平均で202円/リットルとなり、「200円超」となることが分かった。また、別の見方をすれば、ガソリン補助金の恩恵を受けるのは地域によって大きな格差があることも判明した。