現代人は「慢性的で容赦ないストレス」に押しつぶされ、頭も肉体も、そしてメンタルも疲れ切っている。私たち人間が本来持つ「エネルギー」を取り戻すには、どうすればよいのだろうか? 本連載では、スタンフォード大学で人気講義を担当し、億万長者の投資家、シリコンバレーの起業家、アカデミー賞俳優のコンシェルジュドクターでもあるモリー・マルーフの著書『脳と身体を最適化せよ!──「明晰な頭脳」「疲れない肉体」「不老長寿」を実現する科学的健康法』から人生最高の時期を引き延ばし、生活の質を最大限に高め、幸福度を増し、慢性疾患の発症リスクを下げる「最新の健康法」を紹介する。

【医者が教える】新居を探すとき「見落とすとヤバい」大切な条件とは?Photo: Adobe Stock

騒音計アプリで周囲の音を計測する

 環境不全は、危険な都市環境緑地のない非自然環境(自然から切り離されること自体がストレスを招く)、捕食動物の接近などの危険信号が聞こえづらくなる騒音公害など、生活環境に起因する。

 環境騒音と睡眠障害や心血管疾患との間に関連性があることを証明する十分なエビデンスもある。

 騒音公害は、安全なものと安全でないものを区別するために脳が行う信号処理の量を増やす。絶え間ない騒音が、起こり得る危険に関する情報を不明瞭にするからだ。

 また、騒音によって脳は覚醒したままになる。人間がかつて森やサバンナで暮らしていたときは、近くに動物がいない限り、ほとんどの時間は静かだった。

 地球上で最も静かな場所を旅して撮影している写真家のピーター・マクブライドは、かつて「静寂は音がない状態ではなく、騒音がない状態だ」と語った。

 鳥のいない、風もない夜のグランドキャニオンの騒音レベルは約10デシベル。静かな部屋は28~33デシベル前後だ。

 人は日中に屋外で60デシベルを超える騒音にさらされるべきではなく、夜間は55デシベルを超える環境騒音にさらされるべきではないという考えを裏づけるエビデンスもある。

 普通の会話、電子レンジ、レーザープリンターはすべて同程度の55~65デシベル。掃除機は62~85デシベル。

ガソリン駆動芝刈り機は87~92デシベル。雑草トリマーは94~96デシベル、リーフブロワー(落ち葉の掃除機)は95~105デシベル、チェーンソーは110デシベル、スノーモービル、爆竹、ロックコンサートは140デシベルだ。

 スマートフォンに騒音計アプリをダウンロードすれば、周囲の環境がどれほど騒がしいか把握できる。

 騒音検知器を搭載し、環境騒音が有害なレベルに達したら警告するスマートウォッチもある。

 新居を探しているなら、騒音が健康に及ぼす影響を理解したうえで、屋外で騒音を計測し、騒音がどの程度か確認するとよいだろう。

 暗かったり、霧や煙が立ち込めていたり、汚染されている環境も、近づいてくるものが見えないため危険だ。

(本記事は『脳と身体を最適化せよ!──「明晰な頭脳」「疲れない肉体」「不老長寿」を実現する科学的健康法』から一部を抜粋・改変したものです。)