現代人は「慢性的で容赦ないストレス」に押しつぶされ、頭も肉体も、そしてメンタルも疲れ切っている。私たち人間が本来持つ「エネルギー」を取り戻すには、どうすればよいのだろうか? 本連載では、スタンフォード大学で人気講義を担当し、億万長者の投資家、シリコンバレーの起業家、アカデミー賞俳優のコンシェルジュドクターでもあるモリー・マルーフの著書『脳と身体を最適化せよ!──「明晰な頭脳」「疲れない肉体」「不老長寿」を実現する科学的健康法』から人生最高の時期を引き延ばし、生活の質を最大限に高め、幸福度を増し、慢性疾患の発症リスクを下げる「最新の健康法」を紹介する。
タンパク質は不足しても摂りすぎてもいけない
老化を研究している科学者は、特に運動不足の場合、タンパク質の摂りすぎが加齢関連の疾患を加速させる可能性があると考えている。
私の個人的な解釈は、身体は成長のためにタンパク質を―菜園に蒔かれた肥料のように―使い、筋肉であろうとがん細胞であろうと、体内で育んでいるものすべての成長を促すというものだ。
運動によってマイオカインと呼ばれるシグナル分子が分泌され、このマイオカインががん細胞を攻撃して殺すよう免疫細胞に信号を送る。
運動しなければ免疫細胞がこの信号を受け取らないため、タンパク質からの成長信号が、体重増加や加齢に伴うがん細胞の成長を促すおそれがある。
アラン・アラゴンなどのエビデンスに基づく栄養学の研究者たちは、タンパク質不足は脂肪減少や筋肉維持、筋肉の質、運動パフォーマンス、心臓代謝などに悪影響を及ぼすため、長寿を阻む大きな脅威であると確信している。
さらに、最近の調査では、人間はBCAA(分岐鎖アミノ酸)の数値が年齢とともに低下し、フレイルによってさらに低下すると結論づけている。
私は患者に対して、1日体重1キロ当たり1.6グラムのタンパク質の摂取を目指すよう勧めている。
私自身は週に5日の運動を心がけているが、それ以外の日や旅行中は、「プロテインサイクリング」をときどき取り入れている。
プロテインサイクリングとは、週1回、タンパク質の摂取量を1日20グラム未満に制限することだ。
運動していないときに断続的に栄養を枯渇させるこの習慣は、オートファジー(死んだ細胞の除去)を促進する。
(本記事は『脳と身体を最適化せよ!──「明晰な頭脳」「疲れない肉体」「不老長寿」を実現する科学的健康法』から一部を抜粋・改変したものです。)