――そこからどう立ち直ったのですか?
佐藤 力になってくれたのが、創業時に融資をしていただいた長浜信用金庫さんです。事業計画や返済計画の変更などに根気よく付き合っていただき、返済計画をリスケしていただきました。それだけではなく、新商品作りの相談や取引先の紹介もしていただきました。「ラストチャンスですよ」ということでしたが、単なるお金のつながりだけではない温かいサポートをしていただきましたね。
――それで首の皮一枚つながったと。
佐藤 おかげで、ようやく思うような酒ができ始め、15年には、湖濱 特別純米酒が日本航空ジャパンプロジェクト滋賀で採用され、羽田空港ダイヤモンド・プレミア ラウンジで提供されるようになりました。さらにロンドン酒チャレンジの金賞受賞も重なったことで、知名度が上がり、商品が売れるようになったのです。国内だけでなく海外でも販売したところ高い評価を受け、既に全売り上げの1割は香港が占めています。
――今後の抱負をお聞かせください。
佐藤 企業理念の通り、地元・長浜の魅力を国内外に発信していきたいですね。中国での商品販売も始まりました。中国に限らず、海外のお客さまがうちのお酒を通して長浜を知り、観光に来てくれるという流れをつくれればよいですね。観光バスを受け入れられるよう、酒蔵を改装し、店舗スペースも造りました。
またお酒のラインナップがまだ少ないので、増やしていく予定です。まだ純米大吟醸を造っていないので、取り組んでいきたい。そのためにタンクをあと2本ぐらい増やすことも考えています。ただ単に規模を拡大するのではなく、付加価値の高いお酒を造りたいですね。
(取材・文/杉山直隆 協力/長浜信用金庫 「しんきん経営情報」2024年7月号掲載)