市場関係者が描く未来シナリオを基に、日本株や為替、注目企業の株価や業績、株高に期待できる銘柄の数々を、一挙に炙り出そうというのが本特集である。

 その端緒とすべく、純利益の市場予想データを基に、注目15業種の主要企業の業績をビジュアル解剖したのが下図だ。

 というのも、純利益はEPS(1株当たり利益)やPER(株価収益率)の計算の基にもなり、投資家目線で重要度が高い。新NISAでは高配当銘柄が人気だが、配当の原資となる存在でもある。

 何しろ、「PBR(株価純資産倍率)1倍割れ」企業にメスを入れた東証市場改革や、従前からのコーポレートガバナンス(企業統治)改革も後押しする形で、配当や自社株買いなどの株主還元に力を入れる企業が増加中だ。

 好業績で配当額が増勢をたどるほか、自社株買いを積極化させるトレンドも続いており、大和証券の阿部健児チーフストラテジストは、「当期利益に占める自社株買いの比率は、24年度に大きく上昇すると予想している」と話す。