いくら筋トレをしたところで
脂肪が減らない限り、痩せない
「筋トレではやせない」ということについて、おそらく、みなさんの中には「これまでずっと、せり出したおなかを引っ込ませようと思って腹筋トレをがんばってきたのに……」と、納得のいかない顔をされている方もいらっしゃることでしょう。
でも、どんなに腹筋をやってもやせないのは事実なのです。
それは、大相撲の力士を見れば分かります。お相撲さんたちは、みんなでっぷりとしたおなかを抱えていますよね。言わずもがな、あの立派なおなかのふくらみは分厚い体脂肪によるものです。
しかし、その分厚い体脂肪の下には、鋼のように鍛えられた腹筋が備わっているのです。当たり前ですが、お相撲さんたちはみんな毎日これでもかというくらいのすさまじい稽古をして筋肉を鍛えています。もちろん、腹筋も常人には想像もつかないレベルで鍛え上げています。ところが、それだけ腹筋を鍛えていても、おなかの分厚い脂肪は一向に減っていませんよね。
これが「筋トレで腹筋を鍛えたところでおなかの脂肪は減らない」といういちばんの証拠なのではないでしょうか。
もっとも、みなさんご存じのように、筋トレをしっかり行なえば、筋肉は太く盛り上がってきます。すると、体のたるんでいた部分やだぶついていた部分が引っ張られて、全体に引き締まった感じに見えてくるようになります。これを「シェイプアップ」と呼んでもいいでしょう。
つまり、筋トレには脂肪を減らす効果はないものの、脂肪のたるみを目立たなくさせる効果はあるのです。だから、腹筋トレを毎日一生懸命やっていれば、脂肪は減らなくともおなかが引き締まって見えてくる場合もあります。もともとそんなにたくさんの脂肪をおなかに蓄えていない人であれば、他人から「あれ?やせた?」と錯覚されるかもしれません。
ただ、こういった「シェイプアップ効果」「引き締まったように見える効果」は、正確には「やせた」とは言えません。「やせた」と言えるのは、あくまで体脂肪が減った状態です。「脂肪が落ちてやせた」と「筋肉が発達した」は、生理学的にもまったく違う別々の現象であり、両者を混同することはできないのです。
すなわち、筋トレでどんなにすっきりシェイプアップされたとしても、脂肪が減っていない限り、「やせた」の仲間には入れられないということになります。