米国防総省が人工衛星を打ち上げたい時、以前なら注文を受けるのは米ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)だった。だが最近は、米軍が真っ先に連絡するのは米実業家イーロン・マスク氏の企業だ。米航空機製造大手ボーイングと米防衛大手ロッキード・マーチンの合弁会社でコロラド州に拠点を置くULAは、長らく国家安全保障分野の打ち上げを事実上独占していた。だがここ10年ほどは、マスク氏率いる宇宙開発ベンチャーのスペースXにお株を奪われている。スペースXは世界で最も多忙な打ち上げ請負会社に成長し、ここ数年は米軍の最重要パートナーとして、最も機密性の高い宇宙関連業務を多く請け負っている。ULAはかつての地位を取り戻すべく、新型ロケット「バルカン・セントール」の数年の遅れを挽回しようと躍起になっているものの、米議会や国防総省からは厳しい目を向けられている。各国が宇宙開発を競う中、米政府は防衛・偵察衛星の打ち上げを複数の企業が担えるのが望ましいと考えている。
米軍衛星打ち上げ スペースX追う「老舗」ULA
ボーイングとロッキードの合弁企業、製造遅延で国防総省から厳しい視線
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