101歳、現役の化粧品販売員として活躍している堀野智子（トモコ）さん。累計売上高は約1億3000万円で、「最高齢のビューティーアドバイザー」としてギネス世界記録に認定されたキャリア61年のトモコさんが、年をとるほど働くのが楽しくなる50の知恵を初公開した話題の書『101歳、現役の化粧品販売員 トモコさんの一生楽しく働く教え』（ダイヤモンド社）より一部を抜粋・編集したものをお送りする。佐藤優氏（作家・元外務省主任分析官）が「堀野氏の技法は、ヒュミント（人間による情報収集活動）にも応用できる」と絶賛（日刊ゲンダイ・週末オススメ本ミシュラン）する世界一の先輩による“人生訓”は、アナタの疲れた心を元気にしてくれる！
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飛ぶように
過ぎ去る毎日
私の最初の就職先は、現在のNTT（日本電信電話）で、当時の「逓信省」でした。逓信省は、郵便や電信電話を管轄していたのですが、私はそのうち電信電話（電話局）に就職したんです。
電話局の仕事は、「早番」と「遅番」の2交代制でした。遅番の日は、夕方4時半から翌朝8時までの勤務です。夜勤ですが、交代で眠ることができましたし、夜中は日中ほど電話交換の件数が多くないので、つらいと思ったことはありません。
むしろ朝8時半には仕事が終わり、そのあとは自由に時間が使えるのでありがたかったくらいです。何も遊びに行けるから、ありがたかったのではありません。仕立て物の内職をしていたんです。仕事と内職と家事、それに妹の世話で、毎日が飛ぶように過ぎました。
毎日を幸せにする
超シンプルな思考法
当時の価値観では、女性は「いつか結婚するもの」、そして「主婦となって夫を支え、子どもを育てるもの」でした。
でも、果たしてあのころの私は、自分がいつか結婚して実家を出ると考えていたのか……あまりに昔のことでよく思い出せないのですが、結婚も子育ても「いつか自分に起こること」とは、とらえていなかったように思います。
私は今でもそうなのですが、基本的に先のことを考えないし、過去を振り返ることもまずないのです。
その日1日、自分がやれることをやって、「ああ、今日も無事に過ぎたな」と思えればそれで十分だと思います。それは、何十年もたった今も変わりません。
思いがけない力で
人生は変わる
とはいえ、自分では「このままで十分」と思っていても、人生というのは周囲からの思いがけない力で変わっていくところもあります。それをもっとも強く感じたのが、突然プロポーズされ、父が大喜びしてトントン拍子に結婚が決まったときのことです。
その相手は14年前に亡くなった主人で、私とははとこ同士の関係にありました。父の姉が、主人の母親だったのです。
母親が結核におかされて
主人の父親は戦争中に満州に渡り、南満州鉄道（満鉄）で事務方の役職に就いていました。ところが、妻である主人の母親が、次男にあたる主人を出産した後、結核を発病してしまいます。当時の結核といえば、死を覚悟しなければならないほどの大病でした。
感染ってしまっては大変ということで、まだ赤ん坊だった主人は、父方と母方、双方の祖母に育てられることになりました（主人の母方の祖母は、私の父方の祖母にあたります）。
溺愛されて育った夫
満鉄勤めの父親は、「息子が世話になっているから」ということで、相当な金額の仕送りをしてきたそうです。おばあさんたちはといえば、ただ主人を不憫がり、不憫な分だけかわいくてたまらないというふうに接していたようです。
「なんて可哀想な子だろう。こんな小さいうちから母親と離れなくてはならないなんて、可哀相だ。ああ可哀相だ。そして、あぁ、なんて可愛い子だろう……」。そんなふうだったのではないかと、私は勝手に想像しています。
※本稿は、『101歳、現役の化粧品販売員 トモコさんの一生楽しく働く教え』（ダイヤモンド社）より一部を抜粋・編集したものです。
