インスタグラムフォロワーは380万人超、展覧会の総動員者数が230万人を突破した、大人気ミニチュア写真家・見立て作家の田中達也氏。“毎日”新たな作品を投稿し続けている同氏には「どうして、アイデアが尽きないのですか?」という質問が届くという。そこで本連載では、「感覚に頼らず、論理的にアイデアを生み出す法則」をまとめた『みたてのくみたて』を刊行した田中氏に、「アイデアは、尽きるどころか日々増えています」という発想の秘訣を、余すことなく伝えてもらう。(構成:ダイヤモンド社第三編集部)
ごっこ遊びに隠された「よりよく生きる知恵」
「私の作品を見て、初めて見立てを意識した」という方もいるのではないでしょうか。しかし、そんなあなたも知らず知らずのうちに見立てをしていたかもしれません。
子どもの頃を思い出してみてください。畳の縁(へり)を道路に見立ててミニカーを走らせたり、歩道の白線を橋に見立てて落ちないように歩いたりしたことはないでしょうか。
実は、誰かに遊び方を教わらなくても、ごっこ遊びにはごく自然に見立てのアイデアが取り入れられています。
だから私は、見立ては人間に本能的に備わった、よりよく生きるための知恵だと思っています。
例えば、コロナ禍では多くの人々が行動を制限され、仕事や生活様式の変更を求められました。
一方で、飲食店の宅配サービスやビジネスにおいてオンラインミーティングが普及するなど、新しいサービスや文化も登場しました。
生活の中で何かが欠けている、あるいは満たされていない。そんな状態の時にこそ、見立ての発想が生かされるチャンスなのだと思います。
見立てとは「今あるもので工夫して、代わりの方法を見つけ出す力」。そう考えています。
(本稿は、『みたてのくみたて』を抜粋、再構成したものです)